「できるだけ高く売りたい」「失敗だけはしたくない」――
金・宝石・時計・ブランドバッグ・ジュエリーを売るとき、多くの方がこう考えています。
しかし、買取の仕組みや市場のことを知らないままお店に行くと、「思っていたより安い…けど、妥当なのか分からない」「お店によって金額が全然違う」と不安なまま決めてしまいがちです。
この記事では、業界の専門家が「売る前に知っておくと確実に得をする基礎知識」から「地域性を踏まえたお店選び」までを徹底解説します。
1章:金・宝石・時計・ブランド品を売りたい人がまず知るべき基礎知識

まず覚えておきたいのは、買取価格は「なんとなく」決まっているわけではなく、以下の3つの掛け算で決まるということです。
1-1. 買取価格を決める3つの要素
- 市場相場
金やプラチナは「今日の地金相場」、時計やブランド品は「中古市場での人気」、宝石は「国際相場+需要」で決まります。“売る日”が違えば価格が変わるのはこのためです。
- お品物の状態・スペック
金の純度、ダイヤの4C、時計のメンテナンス履歴、バッグの状態などが影響します。
- お店の方針・得意分野
自社販売ルートを持っている店や、特定ジャンル(時計、宝石など)に強い店は、そうでない店よりも高い査定額を出せる土台を持っています。
1-2. ジャンルによって市場の仕組みが違う
| ジャンル | 価格決定のポイント | 特徴 |
| 金・プラチナ | 重さ × 純度 × 当日相場 | 素材の価値がそのままお金になる。傷や古さはほぼ関係なし。 |
| 宝石・ダイヤ | 需要 + プロの鑑定眼 | 評価が難しく、お店によって価格差が出やすい。 |
| 時計 | 資産性 + メンテナンス歴 | モデル、年式、付属品(保証書)で数十万円変わることも。 |
| ブランド | ブランド力 + トレンド | 「今、欲しがっている人がいるか」で大きく変動する。 |
1-3. 「売るタイミング」で損得が変わる
金は世界情勢や為替で日々変動し、時計やブランド品はメーカーの定価改定やモデルチェンジで相場が上下します。「いつ売るのが正解か」は品物によるため、自己判断せずに「一度相場を聞いてから考える」のが賢い選択です。
1-4. 売る前にやっておくと“確実にプラスになること”
・付属品を揃える: 箱、保証書、コマ、鑑定書などは最強の「安心材料」=「加点要素」です。
・購入情報を思い出す: いつ頃、どこで買ったかが分かると査定の精度が上がります。
・無理に磨かない: 自己流のメンテナンスは傷を広げ、逆に価値を落とす原因になります。
プロからのアドバイス
良い査定とは「高い金額」だけでなく、「なぜその金額になるのか(プラス要因とマイナス要因)」を丁寧に説明してくれることです。
2章:失敗しない買取店の選び方|プロが教える絶対に外せない5つの基準
買取店選びは、手元に残る金額に直結します。以下の5つの基準で選べば、大きな失敗は防げます。
基準①:相場の“根拠”を説明してくれるか
「いくらです」と数字だけ伝える店は要注意。「今日の金相場が〇〇円だから」「ここがプラス評価で、ここがマイナス評価です」と、プロセスを説明してくれる店を選びましょう。
基準②:査定方法が“見える形”になっているか(透明性)
比重計、ルーペ、刻印の確認など、お客様の目の前で査定を行う店は安心です。裏に持っていって見えないところで査定する店は、不信感につながります。
基準③:口コミの“数”ではなく“中身”を見る
Google口コミを見る際は、☆の数よりも「文章の中身」を見てください。「説明が丁寧だった」「無理に売らせなかった」といった、接客姿勢に関する具体的な記述がある店が信頼できます。
基準④:強引さ・押し売り感がないか
「今決めてくれたら高くします」と急かす店は避けましょう。良い店ほど「一度持ち帰って検討してください」と、お客様のペースを尊重してくれます。
基準⑤:自分の売りたい品目に“強い店”か
宝石なら宝石に詳しい査定士、時計なら時計市場に精通した店など、売りたい物と店の得意分野を合わせることが高額査定への近道です。
3章:金(K24・K18・K14)の査定基準|純度・比重・相場

金の買取価格は、デザインよりも「中身(純度)」と「重さ」で決まります。
3-1. K24・K18・K14の違い
・K24(純金): 金含有率ほぼ100%。インゴットなどに多い。
・K18(18金): 金含有率75%。ジュエリーに最も一般的。
・K14(14金): 金含有率約58.5%。
3-2. 買取価格の計算式
買取価格 = 重さ(g) × 純度 × その日の金相場 × お店の掛け率
3-3. インゴットとスクラップの違い
地金メーカー発行の「インゴット(延べ棒)」は資産として流通しやすいため高く、リングなどの「製品(スクラップ)」は溶かして再利用するため、インゴットよりは掛け率が少し下がる傾向にあります。
3-4. 比重チェックの重要性
刻印がK18でも中身がメッキというケースもあります。買取店では「比重計」を使い、本物の金かどうかを正確に検査します。これを見せてくれる店は信頼できます。
4章:ダイヤ・宝石の価値が決まるポイント|4Cと鑑定書
宝石の査定は専門知識が必要なため、店によって価格差が最も出やすいジャンルです。

4-1. ダイヤモンドの評価基準「4C」
- Carat(重さ): 0.3ct、0.5ct、1.0ctなどの「大台」に乗ると価値が跳ね上がります。
- Color(色): 無色透明の「D」が最高。黄色味を帯びるほど下がります。
- Clarity(透明度): 内包物の少なさ。「VS」ランク以上は高評価されやすいです。
- Cut(輝き): 形の美しさ。「Excellent」は高値がつきます。
4-2. 鑑定書の本当の重要性
鑑定書(特にGIAやCGL)があると、品質が保証されるため高値がつきやすくなります。ただし、鑑定書がなくても熟練の査定士なら正確に評価できます。「鑑定書がないと売れない」ということはありません。
4-3. ブランドジュエリーは別格
ティファニーやカルティエなどのブランドジュエリーは、「地金+ダイヤ」の価値に加え、「ブランド価値」が大きく上乗せされます。
5章:時計(ロレックス・オメガ・パネライ)の査定基準

高級時計は「資産」です。以下の4つが査定の軸になります。
5-1. 査定の4大要素
- モデル(型番): 人気モデルや生産終了モデルは高騰しやすい。
- 状態: 傷、ガラスの欠け、ベルトのヨレなど。
- 履歴: オーバーホール歴など。
- 付属品: 箱・保証書・コマ。
5-2. ポリッシュ(研磨)の注意点
傷を消すために磨きすぎると、時計本来のケース形状が崩れてしまい、逆に価値が下がることがあります。「ノンポリッシュ(未研磨)」のオリジナル状態が高く評価される傾向にあります。
5-3. 付属品の影響力
特にロレックスなどは、保証書の有無だけで数万円〜十数万円も査定額が変わります。コマ1つでも数千円〜の価値があるため、必ず一緒に持ち込みましょう。
6章:ブランドバッグが高く売れる仕組み|定価改定と中古相場

6-1. 定価改定(値上げ)が中古相場を押し上げる
ルイヴィトン、シャネル、エルメスなどは頻繁に定価上げを行っています。新品の定価が上がると、「中古でもいいから安く買いたい」という需要が増え、結果として中古相場の底値が切り上がります。
6-2. 古いモデルでも高く売れる理由
「昔買ったバッグだから安い」とは限りません。
・定価が上がり続けている
・廃盤になったが人気がある
・ヴィンテージブームがきている
こうしたバッグは、購入時より高く売れるケースさえあります(特にシャネルのマトラッセなど)。
6-3. 売るか待つかの判断基準
・売却を急がない: 人気定番モデルで状態が良いなら、定価改定を待つのも手です。
・売却を検討中: 使っておらず、型が古いなら、劣化する前に今の高い相場で売るのがおすすめです。
7章:西宮・芦屋・夙川の地域性から見る“良い買取店”の条件
西宮・芦屋・夙川エリアは、富裕層が多く、プライバシーと信頼性を何より重視する特殊なエリアです。この地域で選ばれる店の条件は以下の通りです。
① プライバシーへの配慮
「買取店に入るところを見られたくない」というニーズに応えるため、個室や半個室があり、外から見えにくい店が選ばれます。
② “根拠の説明”ができるか
ただ高い金額を出すだけでなく、「なぜこの価格なのか」を論理的に説明できる店が信頼されます。比重計や相場表を見せながらの査定は必須です。
③ “ガツガツしていない”接客
「今決めてください」といった強引な接客は、この地域では最も嫌われます。「持ち帰って検討してください」と言える余裕のある店こそが、富裕層に支持されます。
④ 高額品の知識レベル
ダイヤ2ct以上、金100g以上、高級時計など、高額品の持ち込みが多い地域です。これらを正確に評価できる専門知識を持った店でないと、適正価格は出せません。
8章:高く売るために今日からできる10の行動リスト

最後に、査定額をアップさせるために誰でもできる「実践チェックリスト」です。
- 付属品を必ず揃える: 箱、保証書、コマ、ストラップ等は全力で探す。
- 自分で磨かない・洗わない: 傷をつけたり変色させたりするリスクを避ける。
- 匂いに気をつける: タバコや香水の匂いは減額対象。保管場所に注意。
- 相場をざっくり知っておく: 不当に安い査定を見抜くために重要。
- 売るタイミングを意識する: 金相場や定価改定のニュースを気にかける。
- まとめて売る: 単品より複数点のほうが、店側もサービスしやすい。
- 売る理由を伝える: 「迷っている」「整理したい」など正直に伝えると、最適な提案がもらえる。
- 詰め込み保管をしない: 型崩れは大きなマイナス。
- ネット価格を鵜呑みにしない: 「売れている価格」と「出品価格」は違います。
- 信頼できる店を1つ作る: 何でも相談できる「かかりつけの買取店」を見つけることが、長く得をするコツです。
